Penguin Village。近未来経済小説。その4。

ペンギン村にはいくつかの意味が込められています。
リーナス・トーバルズの設計思想に共感したんです。
マイクロソフトWindowsは革新的だったんですがダークサイドに落ちてしまった感に否めません。
Windowsが更新される度に数万円もの重税が課されるんです。
巨人IBMに挑んでいたときは正義の挑戦者だったのに。
それでLinuxソースコードをオープンにしてしまったのに拍手喝采しました。
それでも残念ながら一般には普及しませんでした。
ただその思想はGoogleに引き継がれてChromebookになっています。
貧しい途上国の子供たちでも自由に使えるんです。

あと何より鳥山明の漫画が好きだったんですよね。

 

               

 

「たかぽん」が刑務所に収容する前にベーシックインカムをしようと言い出しました。

ベーシックインカム時代は現代に始まった事ではなく、社会福祉の歴史とシンクロしています。

しかし何度も挫折しているんです。第二次世界戦後のイギリスや北欧がその最たるものではないでしょうか。

福祉国家を志向する余り労働者が怠惰になってしまいニートなどが社会問題になったんですよね。

それでイギリスは欧州の病人とまで揶揄されるようになりました。

 

ただ日本では生活保護を受けるのに余りにも余りにもハードルが高くなっているように思うんです。

もちろんバブル崩壊、ITバブル崩壊リーマンショック東日本大震災パンデミックなどで徐々に社会福制度も改善されているんです。

個人の力ではどうしようもない自然災害に見舞われた際に個人の力は無力だと感じました。

 

ぼくも恐る恐る東日本大震災の際には東北に行って見たんです。よく特殊技能がない一個人が来ても被災者がもう一人増えるようなものだから来るなってしきりにアナウンスされていたから迷いました。

それでGoogleもボランティアに来ていたんです。

何かぼくらにできることはありますかって。何ができたと思いますか?

病院でデータベースの作成をしていたそうです。

もちろん病院は被害に遭われた被災者のデータベースを必要としていたのはわかるんです。

あのGoogleでもそれしかできないんだって失望しちゃっいました。

 

ぼくはパソコンとインターネットがあれば大学もメディアもいや政府だって要らなくなるんじゃないかって期待していたんです。

もっと個人の力がエンパワーメントされてもっと民主的な世の中になるって。

幻想だったんですよね。余りにも時期尚早だったのかもしれません。

 

ベーシックインカムもそうです。世界中にコロナウィルスによるパンデミックがおきて本格的に各国政府で実験が開始されました。

やはりひとつのアイデアを実現するのに10年も20年も必要とされる場合もあるんです。

 

案の定ゼロパーセント成長の政策を政府がやめて消費者物価指数が毎年1、2%成長を続けると年金制度が破綻しました。

ウクライナの戦争では欧米各国がインフレ率7から10%を記録するとひとつの壮大な社会実験のようになっていました。

インフレになると財政赤字が吹っ飛ぶといわれています。インフレに各国政府は何世紀も悩まされてきました。

 

年金をベーシックインカムで担保すればいいだろう。それで高齢者の不安はなくなるだろうと。

 

ロシアがウクライナに侵攻したのは北京オリンピックが行われた2022年でした。

そこでデジタル通貨であるデジタル人民元の運用が試験的に行われました。

紙幣やコインを極力使わずにスマートフォンがお財布の代わりになるんです。

おサイフケータイの延長線上にあるのかもしれません。

 

中国のテクノクラートはどうしたらギャンブルやお金儲けが好きな人民を勤勉な労働者に変える事ができるのかと苦慮しているといいます。容易にアヘンのような麻薬にも依存してしまうと。だから科学技術と経済や経営が分かり身に付ければお金持ちになれるのだという意識を植え付けたいのだといいます。

ただ政府にちょっと反抗的な素振りを見せればアリババのジャック・マーでも拉致監禁されたり資産を没収されたりするんですけどね。

 

「たかぽん」は町民に1万円を配布し、所属するメンバーには自主的にお金を給付しています。育児や介護などのアンペイドワークに対する対価としての給付というのは地方自治体で行われている例もあるんです。過疎地では保育園や介護施設を利用できない場合もあるんで。

 

よくそうすると国に寄生しているパラサイトみたいな批判をよく見聞きするんです。でも過疎地のような場所で経済活動を行っていること事態にマクロ経済的にはプラスになると証明したいんですよね。

 

これは初歩的な経済波及効果なんですが一つの経済活動により複利のようにプラスアルファがあるというです。

スーパーで買い物するとします。経済効果はスーパー単体だけではないんです。農産物を配送する運送会社もありますし、卸問屋も関わってきます。かなり複雑になっているんですよね。